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中村文則『その先の道に消える』感想【あらすじ・ネタバレ有】

中村文則『その先の道に消える』【緊縛の世界】

中村文則さんの新刊『その先の道に消える』が本日10月5日発売されました。

個人的なおすすめ作品は『何もかも憂鬱な夜に』『R帝国』です。

中村文則さんは以前アメトーークの読書芸人で『教団X』が紹介されてから

一気に話題になり常に本屋で平積みです。

今日も本屋で大々的に売られていました。

おかげで発売日忘れていたので気づいてよかったです…。

 

 私も早速買って読みました。

今回は緊縛師が登場してその未知の世界が描かれています。

漫画『ライフ』で克己くんに緊縛趣味があったことを思い出しました。

少女漫画であれは衝撃だった。

 

 

その先の道に消える

その先の道に消える

 

 

 

内容紹介

去年の冬、きみと別れ』『教団X』『R帝国』……
世界で絶賛される中村文学の到達点

絡まりあう“謎"と“嘘" その周縁をさまよう男。

愛、信仰、運命――。この世界を生きる意味。

 

アパートの一室で発見された、ある“緊縛師"の死体。重要な参考人として名前があがる桐田麻衣子は、刑事・富樫が惹かれていた女性だった。疑惑を逸らすため、麻衣子の指紋を偽装する富樫。全てを見破ろうとする同僚の葉山。だが事態は、思わぬ方向へと突き落とされていく。犯人は誰か。事件の背後にあるものとは、一体何なのか。やがて、ある“存在告白"が綴られた驚愕の手記が見つかり――(Amazonより引用)

 

 

◆『その先の道に消える』あらすじ・ネタバレ有

<第一部>

アパートで一人の男・吉川一成の死体が発見される。

犯人はまだ見つかっていない。

現場を訪れた刑事・富樫はそこで1枚の名刺を見つける。

それは富樫がかつて関係を持っていた女性・桐田麻衣子のものだった

麻衣子が犯人かもしれないー

咄嗟に富樫は証拠となりうるものを隠してしまった

 

富樫は捜査のため麻衣子の元へ訪れる。

麻衣子は自分が富樫を殺したと打ち明ける。

殺された吉川は緊縛趣味があり

麻衣子は監禁され乱暴をされていたと言う。

吉川から逃げるために、麻衣子は吉川を殺した。

今も麻衣子に未練のあった富樫は、麻衣子を守るために証拠を偽装し

別の人間を犯人に仕立て上げることにした…

 

吉川の殺されたアパートの契約者は伊藤亜美という女性だった。

かつて吉川と同棲をしていたようだ。

富樫は伊藤亜美を吉川殺しの犯人にし

亜美を自殺に見せかけ殺すことを考えた。

 

富樫は亜美と接触するため現在亜美の住むアパートを訪れるが

そこで見えたのは一人の男の死体だった…

 

 この男は一体誰なのか?

伊藤亜美が殺したのか?

しかし、伊藤亜美という名前の女は既に死んでいた。

そして出会う伊藤亜美によく似た顔をした女・山本真里。

一つの事件を追っていたはずが、別の事件に巻き込まれていく。

真実を追うはずが深い闇に飲まれていく。

そしてー

 

富樫は何者かに殺された。

 

<第二部>

富樫が死んだ。

それは自殺に見えるような状態で発見された。

しかし、富樫の同僚・葉山は不審な点が多いことから他殺だと推測する。

葉山は事件の真相を突き止めるため一人捜査を進める。

 

葉山もまた山本真里に接触をする。

伊藤亜美に不自然に似ていた山本真里。

山本真里はある男に指示をされ整形をしていた。

真里は葉山に言った。

その男に飼われている、「私を助けられますか」と泣いた。

 

葉山と真里は行動を共にし

殺された緊縛師・吉川のルーツを探る。

神社に辿り着き吉川の手記を知ることになる。

吉川が緊縛に魅了された経緯が詳細に記されていた。

ーーーーー

そして、真理を支配している一人の男は吉川の手記で「Y」と記されていた。

吉川もまた「Y」との出会いにより、その人生は歪んでいくことになる。

緊縛師だった吉川が緊縛の個人レッスンすることになった。

緊縛を習いに来た男が「Y」だった。

そして「Y」が連れていた女が伊藤亜美だった。

吉川と「Y」は亜美を縛り、亜美はそれに快感を覚えていた。

吉川は緊縛と亜美に溺れていった。

そして緊縛プレイの中で亜美の首を締めあげ殺してしまった。

これもまた「Y」の掌の上での出来事のようだった。

 

その後「Y」が連れてきた女が麻衣子だった。

麻衣子は吉川に対してSの属性を見せていた。

麻衣子は吉川に縛られ監禁されたと言っていたが、

本当は

麻衣子が吉川を縛り監禁をしていた。

 

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手記にはそう記されていた。

葉山はこの証拠や証言から「Y」を突き止めるが

「Y」は銃を持っていた。

葉山と「Y」は銃を相手に向け合った。

 

そして互いに引き金を引いた―――
 

 

その先の道に消える

その先の道に消える

 

 

葉山が「Y」を撃っていた。

「Y」の持っていた銃からは弾が抜かれていた。

その弾を抜いていたのは麻衣子だった。 

 

 

◆『その先の道に消える』感想とか

緊縛とは無縁の中生きてきた私には未知の世界でした。

アブノーマルで見てはいけないようなものに思っていました。

ただ視覚的に興奮するとか痛いのが好きとかそういう嗜好なのかと思いきや

吉川の手記を読むと彼が魅せられたその世界を覗いてみたくなります。

麻縄という聖なるもので、相手を縛るとは何か。それは以前の自分が考えていたように、神に女性を捧げるためではありませんでした。聖なるもので縛ることで、日常の、この味気ない世界の理を超えるためです。(中略)…神聖なもので縛ることには、この世界から別の世界にいくことが含まれます。麻縄による緊縛とは、あらゆる意味で境界を超えることです。(p.209-210より引用)

 

・吉川にとっては緊縛は性癖で片付けるようなものではなかったということ。

 

・麻衣子という女は壊れているようで、危ういのに魅了されてしまう。

富樫を求めて乱れていながらも実は富樫を陥れたり

吉川への女王様然とした面を見せたり

「Y」の持っていた銃の弾を抜いて、結果的に葉山を助けていたり

簡単に言えばヤバイ女でしかないのに。

吉川は麻衣子に殺されたことが贖罪のようにも感じるし。

 

・葉山と他の登場人物との対比。葉山はどこか薄くて背後にいる感じ。

だからこそ他の人物がより激しく鮮やかに思える。

 

・思い出した。『自縄自縛の私』も良かった。

 

 

自縄自縛の私

自縄自縛の私