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村田沙耶香のおすすめ作品と感想【ネタバレ有】①

村田沙耶香という聖女による救済

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こんにちは、みつかるこです。

村田沙耶香さんをご存知でしょうか。

コンビニ人間』で芥川賞を受賞したあの方です。

コンビニでアルバイトをしている作家、

ということでメディアでも話題になったりしていましたね。

 

そんな村田沙耶香さんの新作『地球星人』が発売です…!

 私は雑誌『新潮』で既に読んでいるのですがこれは凄い。

絶対読むべき1冊。

 

特に愛とか恋とか分からない人たちへ。

我々は救われます。

村田沙耶香という名の聖女により救済されます。

 

それというのも、私は長いこと恋愛というものが理解できずにいました。

中高生の頃は女の子の恋バナがとにかく居心地悪かったです。

皆のように人を強く好きになれない自分は欠けているんだろうか

そんなコンプレックスがありました。

 

そんな私が村田沙耶香さんの作品に出会い

ようやく許された気がしたんです。

村田沙耶香さんファンになり、ほとんどの作品を読んできました。

 

 なので、この名作『地球星人』発売を記念して

世の中人々にもっと素晴らしさを広めようと

村田さんのおすすめ作品を紹介します…!

地球星人

地球星人

 

 

『地球星人』の感想は②にで書いています、こちらで↓

 

mitsukaruko.hatenablog.com

 

 

 

村田沙耶香作品おすすめ3選 

その1 『消滅世界』

「これは実験なんだ。違うシステムの中にヒトを入れてみてもちゃんと繁殖するか。実験都市はその実験のためにマウスを入れる箱なんだよ」(p.156)

 

 

消滅世界

消滅世界

 

*あらすじ* (一部ネタバレ含む)

家族とセックスをするのは近親相姦。

人工授精がスタンダードになり

夫婦がセックスをして子どもを産むことは気持ち悪い

そんな価値観の未来の話。

 

主人公の雨音は、両親がセックスをして生まれた子どもだった。

そのことにコンプレックスを感じながら恋愛をしてきた。

1度目の結婚は夫に勃起されて離婚。

2度目の結婚は穏やかで順調であったはずが

実験都市・楽園(エデン)に行くことになる。

 

楽園では、大人はみんな『おかあさん』で

『子供ちゃん』に愛情のシャワーを浴びせることが義務。

雨音はこのシステムに違和感を感じるが

夫の朔はこの世界、思想にに入り込んでいく…。

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ディストピアユートピアか。

今の私たちが信じる愛や家族が

失われた世界と見るか、再構築された世界と見るか。

楽園は合理的で幸福の追求をされた場所。

ここに辿り着く未来はくるのでしょうか。

 

最近文庫にもなったのでぜひお読みください。

 

  

その2『しろいろの街の、その骨の体温の』

 

この真っ白な骨の街は、大きな墓場だった。私の大嫌いな私が死んでいくための、墓場だった。(p.282)

 *あらすじ*(一部ネタバレ含む)

小学生の結佳は、同じ習字教室に通う伊吹と親しくなっていく。

明るくてみんなに好かれている伊吹。

そんな伊吹に対して歪んだ独占欲を募らせる結佳。

結佳は伊吹は自分のおもちゃだと言い、強引にキスを繰り返していく。

 

中学校に進学して結佳を取り巻く環境は変わった。

小学校の頃の仲良しだった若葉、信子とそれぞれ違うヒエラルキーに置かれる。

若葉は1番上、結佳は下から2番目、信子は一番下。

「地味で大人しい」結佳は自分の狭い居場所で身を縮ませている。

 

一方で伊吹は変わらない、明るく無邪気で、ヒエラルキーにも鈍感。

中学生になっても2人はキスをする、名前のない関係が続いていた。

しかし、ある時伊吹から「ちゃんと付き合おう」と言われるが

学校で身分の違う2人が付き合えうことはできないと結佳は拒否をするー

 

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思春期は同じように訪れるということを

どうして今まで気が付かなかったのか。

地味で大人しかった少女も恋をして、発情することを。 

見縊って幼さを頭にかぶせていたのかもしれません。 

 

胸が痛くなりますが、

傷つけられ落とされるだけでなく

捨てて新しくなっていく語だと思います。

 

三島由紀夫賞も受賞されているので面白さはお墨付き。)

 

◆番外編 『ユリイカ2013年7月号 特集*女子とエロ・小説篇』

私いつもブログは1000字を目安に書いているんですけど

この段階で既に1700字なので、

「おすすめその3」と『地球星人』感想は次回に続くにします。

 

ですが、「しろいろの~」を今回書いたので最後にもう1つ。 

 

これに村田沙耶香さんのインタビューが掲載されています。

 あと村田さんに言及する評論もあります。

 

あまり堅くなく読みやすいものが多かったので

あわせて読んでいただけると楽しめると思います!

 

ではまたつづく。